深谷教会降誕節第7主日礼拝、2022年2月6日
聖書:マタイによる福音書25章14~30節
説教:「タラントのたとえ」
保母光彦牧師
讃美歌:21-522
★暗誦聖句
・2月7日(月):マタイによる福音書25章21節●
主人は彼に言った、「良い忠実な僕よ、よくやった。あなたはわずかなものに忠実であったから、多くのものを管理させよう。主人と一緒に喜んでくれ」。
・2月8日(火):創世記1章26~28節●
神はまた言われた、「われわれのかたちに、われわれにかたどって人を造り、これに海の魚と、空の鳥と、家畜と、地のすべての獣と、地のすべての這うものとを収めさせよう」。神はご自分のかたちに人を創造された。すなわち、神のかたちに創造し、男と女とに創造された。神は彼らを祝福して言われた、「生めよ、ふえよ、地に満ちよ、地を従わせよ。また海の魚と、空の鳥と、地に動くすべての生き物とをおさめよ」。
・2月9日(水):マタイによる福音書25章28節●
さあ、そのタラントをこの者から取りあげて、十タラントを持っているものにやりなさい。
・2月10日(木):マタイによる福音書25章26節●
すると、主人は彼に答えて言った、「悪い怠惰な僕よ、あなたはわたしが、まかない所から刈り、散らさない所から集めることを知っているのか。」
・2月11日(金):マタイによる福音書25章24節●
一タラントを渡された者も進み出て言った。「御主人様、わたしはあなたが、まかない所から刈り、散らさない所からかき集める酷な人であることを承知していました。」
・2月12日(土):マタイによる福音書25章25節●
「そこで恐ろしさのあまり、行って、あなたのタラントを地の中に隠しておきました。ごらんください。ここにあなたのお金がございます」。
★説教要約
*目標:自分にとって、主に忠実に従うとはどういうことか考える。
*主題:神から与えられた賜物を生かす。
*暗誦聖句:「よくやった。良い忠実なしもべだ。おまえはわずかな物に忠実だったから、多くの物を任せよう」(マタイ25:21●)
〔タラントのたとえ〕 (マタイ25:14~30)
イエスが再臨に関連して語られた三つ目のたとえです。
ルカの福音書にミナのたとえ(19章)と同じテーマで語られています。ここから「タラント」➔「才能」が派生しています。
1.能力に応じて(14~18節)
「天の御国」という主語に対して、結語が「預ける人のよう」というのは合っていないように思えるのですが、ポイントは、全てが預けた主人のものであるということです。いと高く天を御座にしておられる神は、被造物である人間にこの地を支配するようにゆだねてくださいました(創世1:26~28●)。創造主なる神こそ全ての主権者です。そしてこの地での生活は、旅のように一時的なもの。このことを心しておきたいと思います。
三人のしもべが主人からお金を預かりました。1タラントは6千デナリ、1デナリは一日の労働賃金に換算されます。5タラントに比べれば1タラントや2タラントは少ないですが、1タラントでも十分すぎるほどのものでした。みんなタラントが預けられている。この点を忘れてはなりません。
預けられた違いは、「能力に応じて」でした。ここで不満の声を上げたくなります。「私にももっと能力を与えてくれたらよかったのに」。そうして人との比較が始まります。あの人は5タラント、私は2タラント? 1タラント? しかし、「能力に応じて」ということは、能力以上のことは要求されない、できないことまで要求されないということです。神が私のことを一番よく知っていてくださるから、私にゆだねられているものを精いっぱい用いればよい。この地上においては、そのように歩めばよいということです。反対に、神からゆだねられたものを「隠して」しまうことは、それを用いないことであり、預けられなかったかのように神の委託を否定することになります。
2.清算(19~28節)
預かったものには清算の時があります。それは、再臨の時を示します。
主人はそれぞれの歩みを確認します。5タラント、2タラントのしもべは、能力に応じてタラントを用いました。そして、主人の評価のポイントは、どんな成果を挙げたかではありませんでした。「忠実」であること(21,23節。24,25節も参照)、それはゆだねてくださった神への姿勢です。主人は、その忠実さこそ主人の信頼に対するふさわしい応答だと評価しています。そして主人は、彼らがもうけた分も含めてそれぞれのしもべに与えます(28節●)。主人は何一つ自分の所有物としていないのに、それぞれの「忠実」を喜んだと記されています。神は私たちの忠実さを喜んでくださいます。
一方、「忠実」の対比表現は「怠惰」であり、それは悪いことだと評価されました(26節●)。
3.持っている者、持たない者(29~30節)
「良い忠実なしもべ」と「悪い怠け者」を分けたものは、何だったのでしょうか。三人とも主人のものを預けられていること、そして主人との清算の時があることを理解していました。1タラント預けられた人が隠してしまったのは、働かずに遊びたかったからではありません。そういう「怠け」ではありません。その理由は、「能力に応じて」ゆだねてくれたのに、能力以上に要求する厳しい方だと思い込んでしまったからです。(24●,25節●)。主人は自分のことを知っていてくださる、愛してくださっているという信頼がありませんでした。この信頼がなければ「忠実」は生まれません。「忠実」は主人への愛と信頼への応答です。これを表しているのが、「持っている者」「持たない者」です。「持つとは、タラントの有無や能力の有無ではないことは、最初に確認したように全ての人にタラントが預けられている者」は、この信仰を持っている者です。そして、神はこの信仰をもって忠実に生きることを喜んでくださるということが、たとえを通して明らかにされています。この信仰がなければ、天の御国に入ることはできません。再臨を待って生きる地上での歩みを左右するものはこの信仰であると、イエスは教えてくださっています。
【聖書から】 マタイによる福音書25章14~30節 (新共同訳)
「タラント」のたとえ
25:14「天の国はまた次のようにたとえられる。」ある人が旅行に出かけるとき、僕たちを呼んで、自分の財産を預けた。15それぞれの力に応じて、一人には五タラントン、一人には二タラントン、もう一人には一タラントンを預けて旅に出かけた。早速、16五タラントン預かった者は出て行き、それで商売をして、ほかに五タラントンをもうけた。17同じように、二タラントン預かった者も、ほかに二タラントンをもうけた。18しかし、一タラントン預かった者は、出て行って穴を掘り、主人の金を隠しておいた。19さて、かなり日がたってから、僕たちの主人が帰って来て、彼らと清算を始めた。20まず、五タラントン預かった者が進み出て、ほかの五タラントンを差し出して言った。『御主人様、五タラントンお預けになりましたが、御覧ください。ほかに五タラントンもうけました。』21主人は言った、『忠実な良い僕だ。よくやった。お前は少しのものに忠実であったから、多くのものを管理させよう。主人と一緒に喜んでくれ.』22次に、二タラントン預かった者も進み出て言った。『御主人様、二タラントンお預けになりましたが、御覧ください。ほかに二タラントンもうけました。』23主人は言った。『忠実な良い僕だ。よくやった。お前は少しのものに忠実であったから、多くのものを管理させよう。主人と一緒に喜んでくれ。』24ところで、一タラントン預かった者も進み出て言った。『御主人様、あなたは蒔かない所から取り、散らさない所からかき集められる厳しい方だと知っていましたので、25恐ろしくなり、出かけて行って、あなたのタラントンを地の中に隠しておきました。御覧ください。これがあなたのお金です。』26主人は答えた。『怠け者の悪い僕だ。わたしが 蒔かない所から取り、散らさない所からかき集めることを知っていたのか。27それなら、わたしの金を銀行に入れておくべきであった。そうしておけば、帰ってきたとき、利息付きで返してもらえたのに。28さあ、そのタラントンをこの男から取り上げて、十タラントン持っている者に与えよ。29だれでも持っている人は更に与えられて豊かになるが、持っていない人は持っているものまでも取り上げられる。30この役に立たない僕を外の暗闇に追い出せ。そこで泣きわめいて歯ぎしりするだろう。』」